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千手 智晴*; 磯田 豊*; 荒巻 能史*; 乙坂 重嘉; 藤尾 伸三*; 柳本 大吾*; 鈴木 崇史; 久万 健志*; 森 康輔*
Journal of Oceanography, 61(6), p.1047 - 1058, 2005/12
被引用回数:9 パーセンタイル:19.22(Oceanography)日本海,日本海盆から大和海盆にかけて底層付近の詳細な水塊構造を観測した。観測は研究船白鳳丸KH03-3次航海(2002年10月14日19日)で行った。大和海盆の底層付近では0.085度以上の、日本海盆では0.070度以下の海水が分布しており、これらの海水は両海盆間の境界付近でestuary型のフロントを形成しながら会合していた。フロントの構造から、底層での日本海盆から大和海盆への流入と、その上層での大和海盆からの流出が示唆された。また、日本海盆から流入した底層水は、大和海盆内の時計回りの循環に捕捉され、鉛直拡散,海底加熱,酸素消費の過程を通して、大和海盆底層水に変質されると推測された。ボックスモデルにより大和海盆底層水の熱収支を解析した結果、海底加熱は鉛直拡散の約70パーセントの大きさを持ち、これらによって日本海盆からの冷たい底層水の移流効果が打ち消されていることがわかった。さらに、大和海盆底層水の平均滞留時間は9.1年であると見積もられた。
逆井 章; 竹永 秀信; 久保 博孝; 秋野 昇; 東島 智; 櫻井 真治; 玉井 広史; 伊丹 潔; 朝倉 伸幸
Journal of Nuclear Materials, 290-293, p.957 - 961, 2001/03
被引用回数:12 パーセンタイル:64.65(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60UではW型ダイバータの外側に新たに排気溝を設け両側排気に変更し、99年2月から実験を開始した。実効的な排気速度はガスを真空容器内に満たす方法により評価し、両側排気への改造により25%増大した。両側排気に変更後、粒子排気率が著しく改善し、ELMyHモードプラズマでの効率的なヘリウム排気を実現した。Lモード及びHモードともに粒子排気率は内外側ギャップ(内/外側ストライクポイントと内/外側排気溝までの距離)に強く依存することがわかった。両側ストライクポイントを両側排気溝に近づけたELMyHモードプラズマでのヘリウムの滞留時間(実効的な粒子閉じ込め時間)は0.4sであり、97年の内側排気の0.67sに比べて、ヘリウム排気性能は40%向上した。ヘリウムの滞留時間/エネルギー閉じ込め時間の比は3(97年は4)を達成し、両側排気による大きな改善が見られた。
鈴木 弘; 三浦 昭彦; 藤田 秀人; 佐野 雄一
JNC TN8410 99-043, 135 Pages, 1999/10
アスファルト固化処理施設における火災爆発事故の原因に関し、エクストルーダから排出されたアスファルト混合物が高温であったことが考えられる。小型の2軸エクストルーダを用いた試験の結果からは、エクストルーダ内においてアスファルト混合物中の塩濃度が局所的に上昇し、粘性発熱を増大させること、エクストルーダ内の塩堆積により摩擦熱が発生することなどが確認された。これらの現象は、試験の結果からエクストルーダの運転方法等との関連が深く、運転時の挙動としてトルク等に現れると考えられた。このため、これらの試験結果を基に実機4軸エクストルーダの装置構成や運転方法を整理した上で運転記録の分析・評価を行った。この結果、運転記録に塩濃縮及び塩堆積の発生を示すと考えられる挙動が多数見られ、エクストルーダへの廃液供給速度の低下によりトルク値が26Bから30Bまで順次上昇していること等が確認された。これらのことから、廃液供給速度低下によりエクストルーダ内の物理的な発熱が増大され、充てん温度が標準供給速度時に比べ高くなったものと考えられ、ドラムへの充てん時期と物理発熱進展の考察結果が一致していることを確認した。これらの評価結果から、供給速度の低下によって2軸試験で確認されたようなエクストルーダ内部での塩濃縮現象及び塩堆積現象が顕著となり、これによる物理的発熱によって充てん温度が高くなったことが火災の原因であると評価した。
笹本 広; 油井 三和; Arthur, R. C,*
JNC TN8400 99-033, 153 Pages, 1999/07
釜石鉱山における原位置試験は、主に栗橋花崗岩閃緑岩を対象として行われた。栗橋花崗岩閃緑岩中の地下水の地球化学的調査により、主に以下の点が明らかになった。・地下水の起源は、降水である。・深部の地下水は、還元性である。・ほとんどの地下水にはトリチウムが検出されることから、これらの地下水の滞留時間は長くとも40年程度である。一方、KH-1孔の地下水にはトリチウムが検出されず、予察的な14C年代測定から、数千年程度の年代が示唆される様な、より古い地下水が存在すると推定される。・比較的浅部の地下水はCa-HCO3型であるが、より深部になるとNa-HCO3型になるような深度方向での水質タイプの変化が認められる。上記の様な地球化学的特性を示す栗橋花崗岩閃緑岩中の地下水に関して、地下水の起源と地下水-岩石反応の進展を考慮した地球化学平衡モデルをもとに、地下水水質のモデル化を試みた。その結果、土壌中での炭酸分圧の値、岩体中での以下の鉱物を平衡と仮定することで地下水のpH,Ehおよび主要イオン(Si,Na,Ca,K,Al,炭酸および硫酸)濃度について、実測値をほぼ近似することができた。・土壌中での炭酸分圧:logPCO2=-2.0・岩体中での平衡鉱物:玉随(Si濃度)、アルバイト(Na濃度)、カオリナイト(Al濃度)、方解石(Caおよび炭酸濃度)、マイクロクリン(K濃度)、黄鉄鉱(硫酸濃度、Eh)また、海外の専門家との議論により、釜石サイトにおける、より現実的な地下水変遷モデルを構築するためには、開放系での不可逆的な岩石-水反応に関して、反応経路モデルを用いたシステマティックなアプローチを適用することが必要であると考えられた。さらに、モデルの妥当性を示すためには、釜石サイトの地質情報に関して、より詳細なデータ(例えば、割れ目充填鉱物に関する詳細なデータ等)も必要である。
not registered
PNC TJ1604 97-002, 27 Pages, 1997/03
1)非保存性物質の流動過程を溶存酸素極小層の酸素に注目して、約10万個の標識粒子を時間を逆戻りにして50年間追跡した。各層へ流入してくる海水の、その層の溶存酸素濃度への寄与率を評価する測度を新たに導入した。注目している海域の溶存酸素極小層で酸素を獲得した水は、その層自身の溶存酸素濃度にはほとんど寄与しないで、層外へ出て行くことが分った。入れ替わって入ってくるのは、より上層で酸素を獲得した水である。酸素を獲得してから終着点に到達するのに要する時間は、溶存酸素極小層へ来る粒子が最も長い年数を必要とすることも分った。酸素消費率は、0500m層で0.1ml/l/yrより大きい。また、酸素消費率は、鉛直拡散過程から予想されるような、指数関数的な減少をしていない。2)海水構成の時間変化と滞留時間を調べた。北極海、南極海などの小海域では、10年位で一度流出した海水が再び戻ってくる。各層起源の水のその層への残留量の時間変化から滞留時間を評価した。この残留量の時間変化は、必ずしも指数関数的な変化ではないが、e-folding timeとして評価した"平均年令"は、表層で1030年、中層で30120年、深層で60300年である。海水が入れ替わるには、さらに長い時間が必要で、例えば残留量が初期の体積の10%に減少するには、表層で40140年、中層で70600年、深層で1301600年が必要である。3)等密度面混合を考慮した定常流動場を診断的に求めた。流速ベクトル場でみると、従来の流速場と著しく変った所は無いように見える。流速場の信頼度をSarmient and Bryan(1982)の2つの測度を用いて検討したが、スキームの異なる2つのモデルの信頼度の評価にはGamma ratio I2は適切ではないことが分った。粒子群の鉛直変位は明らかに差が現われている。等密度面が大きく傾いている高緯度海域では、より現実的な流動状況になっているだけではなく、赤道海域でも有意な変化が現われている。4)平成4年度8年度の研究成果のまとめ(別冊)を行った。*本報告書は、京都大学大学院理学研究科地球物理学教室が動力炉・核燃料開発事業団の委託により実施した研究の成果である。
山本 政儀*; 上野 馨*; 天野 光
JAERI-Review 95-024, 69 Pages, 1996/02
本調査報告書は、環境中超ウラン元素の分析法と、日本人を含め東洋人の主食である米への移行量を予測するため、水田土壌中における超ウラン元素の濃度と挙動、滞留時間などに関する研究を総括したものである。超ウラン元素諸核種の分析・測定につき、化学分離・精製と線スペクトロメトリによる定量の双方を併した従来からの分析法はもとより、放射能の測定を伴わない質量分析器による分析法をサーベイした。またこのような方法を全国の国公立農業関係試験場15機関で採取した水田土壌及びいくつかの地域から採取した年代別(1957~1989年)水田土壌に適用し、Np、Pu、Am、Csの濃度LNWや分布、さらにこれら元素の約30年間にわたる挙動、みかけの滞留時間などを推定した結果をまとめた。
石川 勇
Radioisotopes, 45(5), p.349 - 350, 1996/00
高温・高圧での反応を利用する石炭液化技術では、その苛酷な条件下における液化反応器内の混合状態、滞留時間分布などの情報取得にRIの技術が使われている。特に最近では、放射性トレーサを利用する方法よりも非放射性トレーサとカリホルニウム-252中性子源との組合せによる中性子吸収法が用いられていることを紹介している。この報告は、石炭液化技術の分野で、液化反応器内でのスラリーの挙動解析と反応器の設計に重要な情報を得るための放射性及び非放射性トレーサによる実験研究報告の概要をレビューとしてまとめたものである。
松永 武; 天野 光; 上野 隆; 柳瀬 信之; 小林 義威
Journal of Environmental Radioactivity, 26, p.3 - 17, 1995/00
被引用回数:16 パーセンタイル:48.83(Environmental Sciences)原子力施設から大気中に放出された放射能の長期的な環境中挙動の研究の1つとして、大気から地表に降下したそれらの放射能が河川を経てどのように流出するのかを明らかにする目的で、茨城県久慈川において河川水中の大気起因Pb及びBeの流出挙動を研究した。その結果、久慈川においては、PbとBeともに、その年間移行量の90%以上を懸濁態が占めることが分かり、核種移行における河川水懸濁物の重要な役割を明らかにすることができた。さらに、東海村で測定したPbとBeの年間降下量と移行量からPbの流域地表における平均滞留時間を求めると約800年となった。他地域での報告値と比較すると、この値には年間降水量や流域地形の差異が反映していると考えられ、河川水懸濁物と核種の移行挙動との密接な関係が、この解析によっても明らかになった。
渡辺 博正; 伊藤 政幸; 町 末男; 岡本 次郎
JAERI-M 9918, 63 Pages, 1982/02
槽型反応器付の連続重合反応装置を用いて、圧力30kg/cm、温度40C、気相モノマーのプロピレン分率が0.1の一定条件下で、連続操作によるテトラフルオルエチレンとプロピレンの放射線乳化共重合反応を行った。ラテックスのポリマー濃度は、反応器でのラテックスの平均滞留時間の2倍の運転時間で定常濃度に達した。このポリマーの定常濃度は、平均滞留時間の増加とともに加速的に増大した。平均滞留時間が0.94, 1.75, 3.31時間における定常濃度および重合速度は、それぞれ33, 70, 164g/-HO、および35.1, 40.0, 49.5g/-HOであった。これらの実験結果は、同一反応条件における半回分操作時の結果とよく一敦する。ラテックス中の溶存モノマー量は、平均滞留時間が短くなるほど低下する傾向を示した。これは、ラテックスの滞留時間が短いときには、気相からポリマー粒子へのモノマーの拡散による供給が不十分であることを示している。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; 富岡 祐一*; 田中 靖治*; 濱 克宏; 岩月 輝希
no journal, ,
電力中央研究所と日本原子力研究開発機構の共同研究の一環として、地下水の年代測定を行う手法の開発を実施した。地下水中に存在する放射性同位体のうち、有機炭素中の炭素-14に着目し、この同位体を利用して年代測定を試みた。その結果、これまでに実施した地下水中のヘリウム-4を利用した年代測定結果と整合することを確認した。このことから、有機炭素中の炭素-14を利用した年代測定法の有効性を示すことができた。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; 岩月 輝希; 加藤 利弘
no journal, ,
地下水の滞留時間(地下水年代)を評価するうえで、地下水に溶存する無機炭素(DIC)のC年代は有用な指標である。本研究では、地下水中のDICを回収するための2つの方法(沈殿法, ガス化法)について、NaHCO溶液および実地下水に適用したときのC年代の値を定量的に比較した結果を示し、それぞれの適用限界について考察した。